皮膚の歳時記

世田谷区の皮膚形成外科、千歳台きたのクリニックです。季節の変化と皮膚の健康の関係は切っても切り離せません。季節ごとの皮膚のお話をちょっとずつお伝えします。
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肝斑診断におけるダブルスタンダード
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    前回の続きです。

    冒頭に「学会でも問題になっている」と書きました。
    4月の学会では、
    本当の肝斑に対しては、レーザーを照射してはいけない」「肝斑用レーザーで肝斑が取れているという報告があるが、結局は誤診であり、本当は肝斑でなかったから取れていたのが現実でしょう」「本当の肝斑を診断できない未熟な医師が『肝斑用レーザー』を使用すると被害者が出る」「しかし、肝斑って、実際定義がはっきりしていないんですよね」あたりで合意に達し、シャンシャンと手打ちになったようなところがありました。
    エキスパートの先生方が「本当の肝斑にはレーザーを照射しない」というところで一致したのにほっとする一方で、

    「定義」がはっきりしないのに、「肝斑」について議論すること自体に、むなしさを感じる結末でもありました。

     

    肝斑の定義についていろいろ考え、私なりに出したのが次の結論。

    肝斑には「二重の定義」があること。

    「二重定義・ダブルスタンダードの存在を認識した上でないと」、論争が成り立たない。

    二重定義の存在を患者さんにも認識してもらうほうが良いということ。

     

    前回の、教科書にある記述をもう一度書きます。肝斑とは、

    「ゞ界明瞭な淡褐色の色素斑」「∨防瑤鮹羶瓦忘険β仂里暴亳宗廖岫L椶亮りには出ない」「30代以上の女性に好発する」「セ膤粟・ホルモンなどが原因と考えられている」「Ε譟璽供爾鮠伴佑垢襪函⊃Я任強くなるので、禁忌」「Д魯ぅ疋蹈ノン外用やトラネキサム酸内服も行われる」「病理学的に基底層中心にメラニン顆粒の増加を認める」(「あたらしい皮膚科」より)

     

    これらのうち、診断が容易なのが、 櫚

    診断が難しいのが、 櫚い豊Δ加わった場合です。

     

    現在、肝斑には 櫚い砲茲辰匿巴任気譴拡大解釈による肝斑と、 櫚ぁ椨Δ真の肝斑という二つの診断基準、すなわちダブルスタンダートが存在します。真の肝斑の診断は、経験を積んだ医師でないと難しいので、どうしても拡大解釈の肝斑が横行しがちになります。

    しかし、真の肝斑を基準とすれば、拡大解釈による肝斑のうち、おそらく半分以上は誤診です。
    「拡大解釈の肝斑」の中のうち、おそらく約9割は老人性色素斑・遅発性太田母斑・雀卵斑などです。これらのシミはレーザーで十分治療できるのです。
    「拡大解釈の肝斑」の基準で誤審されてしまった患者さんは、ちゃんとレーザーでシミが取れる機会を失うことになります
    ちなみに、「真の肝斑」のための治療法では、老人性色素斑・遅発性太田母斑・雀卵斑などのシミはとれません。
    (もっともらしく9割、と書きましたが、当院にて「他院で肝斑と診断されました」と言って来院される患者さんの約9割は、真の肝斑でないことを根拠に書いています。)
    「拡大解釈の肝斑」という言い方自体、誤診を認める言い方なので使用したくないのですが、現状では、ダブルスタンダードが存在する」こと自体を認識するほうが間違いが少ないのではないかと思います。

     


    ダブルスタンダード

     
    繰り返しますが、本来ならばこのようなダブルスタンダードは許されるものではありません。でも、現状はそうなっているので、ダブルスタンダードの存在を認識するほうが難を逃れることができます。

    ぜひ、このダブルスタンダードの存在を認識していただき、自分が「どちらの定義で肝斑」と診断され、「どちらの定義による肝斑治療」を行おうとしているかを理解した上で治療していただくほうが良いと思います。

    これを間違うと、治療目的を達成できない場合や、かえって悪い症状になる場合があります。
     

    ちなみに、当院では「真の肝斑」以外を肝斑と呼びません。

     

    次回は、二つの定義が存在することによる混乱と危険性をもう少し具体的にお伝えします。

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