皮膚の歳時記

世田谷区の皮膚形成外科、千歳台きたのクリニックです。季節の変化と皮膚の健康の関係は切っても切り離せません。季節ごとの皮膚のお話をちょっとずつお伝えします。
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脱毛レーザーは長波長の時代へ
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    私が脱毛レーザーを扱い始めてから10年近くになります。
    この間、世の中の脱毛レーザーのトレンドは、徐々に変わってきました。

    脱毛レーザーの主要な要素は、まず第一に波長、二番目目にパルスが出る長さ。
    脱毛の性能は、この二つで決まります。

    1990年代、脱毛レーザーの主流は、波長が短めのアレキサンドイトレーザー(755nm)とダイオードレーザー(800nm)でした。
    脱毛レーザー界では、この2波長の機種の寡占状態だったため、「脱毛レーザーといえば800nm付近」が当時の常識でした。

    2000年に入ってから、Nd:YAG (1064nm)の長波長レーザーが登場しました。
    実は、先行する2機種(とくに755nm)は、「色黒の人の脱毛」「ひげの脱毛」には不向きでした。
    そこで、そのような要望に応えるべく登場したのが、1064nmなどの長波長レーザー。
    長波長レーザーは、発売当初、先行する短波長レーザーの補助的存在でした。

    しかし、どうやら「補助的」どころか、主役レーザーとしてふさわしいことが徐々にわかってきました。
    私が4年前から使用していた脱毛レーザーは810nmの短波長レーザーでしたが、
    最近使い始めたメディオスターmiXTは、940nmと810nmが3:1でブレンドされているダイオードレーザーです。
    940の比重が大きいので、「長波長」に属するレーザーです。
    長年810nmを使用した後、940+810を使用したところ、長波長の威力に魅せられてしまいました。
    「長波長」ですので、色黒の方の脱毛とひげ脱毛に素晴らしい威力を発揮してくれます。
    同時に、ワキ脱毛やひざ下脱毛も、皮膚の発赤が少なく、難なくこなしてくれるのです。
    細い毛に対しても、短波長よりも安全に脱毛できます。
    かつて「脱毛の主役は800nm」と考えていたのは、思い込みだったようです。

    短波長は「毛幹が熱くなりやすいけれども、深くまで届きづらい」「皮膚も同時に熱くなりやすい」
    長波長は「毛幹が熱くなりにくいけれども、深くまで届く」「皮膚は熱くなりにくい」
    という特性を持っています。

    940nm+810nmのブレンドレーザーは、長短レーザーの長所を取り入れた、バランスの良いレーザーといえます。

    脱毛レーザーは、光の性質と生体反応のメカニズムから見ると、ものすごく複雑で面白いレーザーです。
    他のレーザー、たとえば、炭酸ガスレーザーでは、生体側の要素として考慮するのはせいぜい「水」と「タンパク質」ぐらいですが、
    脱毛レーザーでは「表皮メラニン」「毛幹メラニン」「毛幹の太さ」「毛幹の深さ」「幹細胞のロケーション」「水分」「毛の角度」「皮膚温度」など、多数の要素を考慮する必要があります。
    これらの多くの変数を組み合わせた方程式の「解」が波長であり、パルスの長さです。
    脱毛レーザーを扱うことは、複雑な方程式を解くのと同じような魅力があるのではないでしょうか?

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