皮膚の歳時記

世田谷区の皮膚形成外科、千歳台きたのクリニックです。季節の変化と皮膚の健康の関係は切っても切り離せません。季節ごとの皮膚のお話をちょっとずつお伝えします。
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エステ脱毛について
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    受験はうまいくような気がした。しかし、実は今、後期試験の結果発表待ち。総括は今週末となります。

    昨日、気になったのがこの記事。
     
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120318-00000509-san-soci

    エステでの脱毛が「違法」であることは10年以上前から時々話題になっている。
    「なぜ違法なのか」という点において、微妙な認識のずれがあるようだ。

    記者「脱毛をめぐっては、厚生労働省が13年、医師免許のない人がレーザーなどの光線を使って『皮膚内の発毛組織』を損傷させた場合は医師法違反、とする通知を都道府県に出している。」

    エステ経営者「経営者は調べに対し、施術でやけどを負わせたことは認めたが、「自分の店が使っている脱毛機は『毛乳頭』までは破壊しておらず、医師法違反にはあたらない」と容疑を否認しているという。」

    原口氏「永久脱毛は『毛乳頭』を破壊しなければあり得ないのでエステ店での『永久脱毛』は違法。」

    この3主張を総合すると、「皮膚内の発毛組織」=「毛乳頭」である。そして、エステの機械が「毛乳頭を破壊するかどうか」が違法性の分かれ目になっているかのように見える。毛乳頭とは、毛根の最も深い部位で、毛が棍棒状に太くなっている付近の組織である。

    ことをややこしくさせているのは、この15年ほどの間に「発毛組織」が毛乳頭ではなく、もっと上のほうの「バルジ領域」であるという認識が主流となってきた点である。
    Rox Andersonという物理学者は、現在のほとんどの医療レーザーの礎を作ったような人である。この人が2001年に、「毛乳頭を破壊させるのは『一時的脱毛』、バルジ領域を破壊させるのは『永久脱毛』(の可能性が高い)」と論文で発表した。それ以降のほとんどの脱毛レーザーは、バルジ領域を破壊する出力条件を搭載するようになった。
    となると、「毛乳頭の破壊」にこだわる限り、エステ経営者の主張は有利になる。エステ経営者の言うとおり、「エステの機械は毛乳頭までは破壊しない(つまり、もっと浅いところまでしか破壊していない)」ことが証明されれば、使用機械の構造的な違法性は問われなくなる。しかも、「永久脱毛」という目的達成と矛盾しない。限定された条件において、ではあるが、エステの脱毛でも永久脱毛できる。

    実際は、発毛組織が「毛乳頭か」「バルジ領域か」の問題は完全に決着がついているわけではない。厚労省の通知通り、具体化させずに、「永久脱毛できているのは発毛組織を破壊している証拠」とするほうが、エステ側には分が悪かったはずだ。

    私の推測だが、フラッシュ脱毛はもともと出力が弱い上、波長特性から考えると光エネルギーのかなりの部分が皮膚にとどまる。したがって、深い毛乳頭まで達する光エネルギーは相当減弱していると思われる。
    そして、「光エネルギーが皮膚にとどまる」という、そのことが「皮膚のやけどを起こしやすい」原因となっている。
    すなわち、フラッシュ脱毛被害では「毛乳頭に達するための深いやけど」ではなく、「皮膚にエネルギーが留まるための浅いやけど」の問題が圧倒的に多いはずだ。

    エステ店が医療レーザー並みのパワフルなレーザーを所有することは不可能ではないらしい。しかし、レーザーとは「破壊的な力」を利用して人体を変えてゆく機械である。まさに小さな「銃」である。それを誰に握らせたいと思うのか、施術を受ける人にはそれを考えてほしいと思う。

    | kitanohifukei | レーザー | 09:31 | - | - | - | -
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